2006.12.09 Sat
ふたつの世界
バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏を聴きに西宮北口のホールへ。演目はモーツアルトの「レクイエム」。ソラを産んでからクラッシクの演奏会に行っていなかったので、聴いている時は目に涙が浮かんだ。
思うに、この世には2つの世界がある。1つは、音楽とか芝居とか美術とか本の架空の世界。もう1つは、ごはんを食べたり洗い物をしたり銀行に振込みに行ったりの現実の世界。この2つの世界の間にいないと生きるのが大変な気がする。
猫朗が死んだ次の朝、寝たのか寝なかったのか分からない夜が明け、朝が来た。隣には猫朗の亡骸。朝6時くらいだったか。猫朗に外を見せてやろうと思って抱っこすると、体は長く伸びて、もう死んだ体だ。とうとう猫朗がいなくなった世界が始まってしまったような、苦しみが終わって安らかな世界が戻ってきたような、疲労感。ベランダに出ると、前の家のおじさんが家の前を掃除して、新聞を取りに行っていた。その日常。生活感に深い安心感を感じた。
ソラを連れて初めてライブに行った夜の帰り道、家の中に小さく閉じ込められていた気持ちが、広々と広がっていった。
2つの世界があって良かったと思う。